恐怖の相部屋
志方尊志


第一幕

 

出張13日目。

ホテル。

その一室。

背広を着た男が帰ってくる。

そのまま背広をハンガーに掛け、ベッドに突っ伏す。

しばらくして起きあがり、タバコを吹かし出す。

その時、ドアを、こんこん、とノックする音が聞こえる。

立ち上がって行き、ドアを開ける。

しかし誰もいない。

辺りを見回すが、人っ子一人いない。

扉を閉めて戻る。

しばらくすると、またドアがなる。

開けるがやはり、誰もいない。

それが幾度か繰り返される。

男はもうドアを開けなくなった。

夜中。

真っ暗な室内。

寝ている男。

その時、またドアがノックされる。

しばらく続くノック。

男は気付くが、無視する。

次第にノックの音は強くなってくる。

しまいには、ドアが壊れるのではないかというほどの音が鳴る。

仕方なしに起き出す男。

ドアののぞき窓を見る。

やはり誰も見えない。

音がやむ。試しに開けてみる。

そこには誰もいない。

ドアを閉め、振り返るとそこには、暗闇の中に日本人形が、青白く、逆さまに浮かんでいる。

しばし絶句する男。

二三度瞬きした後、ベッドに戻り眠りにつく。

 

第二幕

 

男が何かビデオを見ている。

ドラマ。

いつしかそのまま寝る。

テレビは砂嵐。

突然ビデオが巻き戻しを始める。

女が映し出され、「愛している」と言う場面になる。

それが繰り返される。

何度も。何度も。何度も。

途中で男が気付いて起きる。

テレビを消そうとする。

消えない。

電源コードを抜く。

消える。

寝る。

 

第三幕

 

男、寝ている間に能面を被っている。

朝、起きる。

それを取り、仕事に出かける。

 

第四幕

 

夜。音が寝ている部屋で、青白い光と共に、人形が浮かんでいる。

消える。

ラップ音。

また人形が浮かび出す。

音。

繰り返す。

そのうち男が起きる。

人形浮いている。

男特に気にしない。

外の窓。その窓の外にいきなり気持ち悪いマネキンみたいなのがべたっとひっつく。

男、一瞥をくれるが気にしない。

寝る。

 

第五幕

朝。起きた男が何気なく部屋を歩くと、ゴキブリ出現。

びくっとする男。

じりじり動く。

そしてダッシュで部屋の外へ逃げ出す。

寝間着のまま。

オートロック。

閉まる。

終わり。


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